『OVA:ブラックジャック「カルテ5 サンメリーダの梟」』【感想】命を救う医者

 

OVAブラックジャックの5作目の話です。

カルテ5では内容にすごく引き込まれずっと釘付けでした。

頭も心も夢中でした。

以下ネタバレあり感想です。

 

 

 

<作品紹介>

制作年  1995年

原作   手塚治虫

監督   出崎統

ジャンル アニメ、医療

 

 

キャスト

レスリー・ハリス(CV:古谷徹

エルネスト(CV:坂口芳貞)

 

 

あらすじ

イギリス軍士官候補生レスリーは毎晩、発作に苦しめられていました。偶然、ブラックジャックピノコが列車で旅をしており、乗り合わせていたレスリーが発作を起こします。緊急で容態を診ますが何事もなかったように終わります。その後下車したところがブラックジャックたちと同じでしたが、ホテルで再び発作を起こします。レスリーの身体を見たブラックジャックはとても綺麗な手術痕を発見し、手術をした医者は誰なのか尋ねますがわからないと。「サンメリーダ」の歌を聞き、ブラックジャックはそこから医師の手がかりを探すことに、、、。

 

 

 

感想

 

描写の興味深さ

 これまでのOVAブラックジャックの描写がすごいなぁと思う部分はありました。そして今回もそういう風にやるんだ、という所があったので取り上げていきます。

 

身体をカメラで撮影するシーン

 ブラックジャックレスリーに発作が起こったので身体を調べたとき、身体をカメラに納めます。その一枚一枚写真を撮るシーンが、アニメのシーンも一枚一枚になっていました。キャラクターの行動とアニメの描写がシンクロしているのが不思議な感じでした。後々の重要なストーリーの部分に関わってきて、こだわりというか強調したい場面と思うとアニメの表現が豊かに見えました

 

ブラックジャックの目

 ブラックジャックがカメラで撮影を終えた後、レスリーの手術後を発見し誰がしたのかを問うところで、ブラックジャックの目が強調されたシーンがあります。すごく貪欲な目をしていたように感じましたし、人を助けたい思い以外の気持ちが見れた気がします。

 

ラストシーン

 エルネストを助けられなかったシーンですけども、エルネストの医者としての技術を見たいもあったと思いますが、なによりも助けたいと思う方が強かったでしょう。だけど助けられなかった。最後の心拍数が0になってしまって棒立ちになるブラックジャック。そして絵が白黒に変わりました。心情として絶望のような深い喪失感が襲ったことを表しているとはっきりと見て取れて、見ているこちらも残念で悲しい気持ちになりました。

 

 

レスリーの苦悩」と「命を救う奇跡」の表現 

声優の演技のすごさやストーリーにおける奇跡について胸打つところがあったので、それらについて書きたいと思います。

 レスリーの苦悩

 レスリーの声を演じるCV:古谷徹の声の表現が圧巻でした。発作に悩まされ、いるはずのない人が見え、安心して過ごすことが出来ない。またサンメリーダ村に着くと覚えのない土地が懐かしく思う。泣く悲しむ悶える。どれを取っても本当にどうにかしてほしい助けてくれと、訴えている姿が非常に伝わって来て傍観者であるはずの筆者にまでレスリー心の内が響いてきました

 

 

命を救う奇跡

 この回のメインであるエルネストが奇跡を目の当たりにし、どうにかしてまだ助かる命を救いたいと。奇跡を体現するような、命を救おうとする描写と笛を吹く音楽の親和性が見事に合わさってエルネストと同じ奇跡の体験があったかもしれません。人を救う所に奇跡が宿るとこれもまた不思議な感じです。もっと神秘的と言った方が的を得ていますかね。なので結構フワフワしています。

 

 

 

儚いけども

 エルネストの天才的な医師が亡くなったのは悲しいし、純粋な医師の姿を見せてくれた人がいなくなってしまうことも悲しい。政治がひん曲がっている社会風刺のテーマもあるでしょうが、題名の「サンメリーダの梟」はエルネストを表しており、また一人の医師を称えているような、そんな思いがあったんではないかと思っております。

 サンメリーダの歌の意味が変わっているのも注目ポイントですかね。普通の村の子守唄だったのが、生きてほしい願いが裏に持っているようなこと想像してしまいます。

 

 

 

さいごに

 今回のOVAブラックジャックは『OVAブラックジャック「カルテ3 マリア達の勲章」』となかなか作品としての良さを争うのではないかと個人的に思っています。でも後7作品くらい残っているので、まだまだわからないですね。

 余談ですが、声優の演技については感心させられます。最近思った他作品だと悠木碧のアニメ「幼女戦記」からゲーム「Fate Grand Order」とか、小野大輔の「斉木楠雄のψ難」から「進撃の巨人」など。

 

以上

 

 

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