『ローマンという名の男-信念の行方-』(感想)罪からは逃れられない

 

主演デンゼル・ワシントンの演技やストーリーによって実話かと思ったのですが、サスペンスドラマの映画だったのは驚きです。

役作りで体重を増量する熱演さは舌を巻きます。

 

それでは以下ネタバレあり感想です。

 

 

 

<作品紹介>

公開年  2017年

監督   ダン・ギルロイ

ジャンル ドラマ、サスペンス

 

 

キャスト

ローマン・J・イズラエル ESQ.役/デンゼル・ワシントン ー 主人公、サヴァン症候群

ジョージ・ピアス役/コリン・ファレル ー 大手事務所代表

マヤ・オルストン役/カルメン・イジョゴ ー 人権活動家

 

 

あらすじ

友人ウィリアムの法律事務所で、裏方の法律アドバイザーとして働いているローマンだったがウィリアムが心臓発作で倒れてしまう。以前から事務所の経営が悪く閉鎖することになりローマン自身でやっていくと言うが断られ、新しい働き口を探すようになる。

 

 

 

<感想>

人の思ったことや考えたことから行動が始まり、時には人を傷つけ、欲に支配され、罪を犯す。映画の視聴後の人権問題、信念の行方、罪の内在を認めるの3点で感想を書いていきます。社会風刺的な意味で映画を捉えちゃってます。

 

 

人権問題

今作は社会問題を扱っていたと思います。それは公正に裁かれないことです。罪を犯した人の多すぎる量刑や人種差別が存在しており、本当の自由な社会ではない話が描かれています。ローマンの信念に当たる部分ですね。

 

ウィリアムの引継ぎの仕事でローマンが裁判所に行った際にありました。実際に人種によって実刑を受ける差があることを問題視するニュースを見かけたこともあるので、根深い問題というか社会の欠点を批判しているのでしょうか。

 

また2017年に公開された映画でありますが2023年現在においても人権問題に関するニュースで取り上げられており、今に至っても通用する劇中の社会問題が世の中にあるのは悲しいことであります。

 

話が少し反れますが、よく言われることで他者を尊重することが挙げられると思います。この尊重とまではいかなくとも、自己と他者は違うものですから迷惑をかけなければ、好きにやってください精神をラフに持てればと感じます。尊重と言われると固いイメージがあるのは筆者だけでしょうか。

 

 

 

信念の行方

ローマンの信念は公正な裁判や過剰な量刑により人権問題が起こる現状を変えたいでした。信念の行方とはその信念の心がくじけてしまうことを言っていたはずです。信念がある道を踏み外したとも。劇中の言葉を借りるなら、自分が行う正しさが意味をなさないことを感じているのでしょう。

 

推測として、これまでもくじけそうになった事があると思います。それまでは友人のウィリアムの事務所で働きながら人権派弁護士として活動してきました。しかし状況が一変します。ウィリアムが働けなくなり、ローマンの働く場所がなくなります。仕事がないと生活がままならなくなります。自分の生活や仕事が成り立つ上で出来ていたことが、徐々に出来なくなる辛さがあります。

 

そして人権を守るなどの法の世界で生きてきたローマンは、自身が法を破る側になってしまいます。欲に目が眩むっという言葉が当てはまる通り、守秘義務を破り情報料のお金を手にしてします。

 

正しいと信じ込む心である信念が本当かどうかを疑う疑念に変わり、欲が弱った心のスキを狙い支配する構造を表しているように感じます。信念が間違っていたわけではなく、現状ある社会問題が信念を曲げるほど容易ではないことも含まれるはずです。

 

 

 

罪の内在を認める

ラストシーンの一部セリフより「自分が被告であり原告だ。自分を提訴し弁護し有罪を宣告する。もはや法律が関与する余地はなく自分の罪を赦すのも自分だ。罪を自覚できない者を有罪にはできない。」これは映画の核心の部分でした。

 

いくら罪を犯し反省したところで、本音ではなんとも思っていなければ何も変わらないことを言っているのでしょう。何が悪くて罪になったのか、なぜ反省することになったのかをわかり初めて、罪が罪の意味を成すのではないかと思います。自分の内に目を向け自分と語り合うかを必要に迫られなくて行うのも意味がありそうです。

 

自身の行ったことを認めるのは、自身に気づくことでもあります。身近な例で、家で家事をしてくれる人がいたとします。してくれることを何も思わなければ、何も気づくこともないです。しかし、ローマンが罪を犯した側になったように、自分で家事をする側になれば、やってくれていた有難さは少しは感じる機会になると思います。立場が変わって初めて気づくことが出来ると教えてくれる映画でもありました。

 

暗い話にはなりますが、現実に即した事では近年の犯罪の認知及び検挙件数が増加にあり治安が悪いと思うとすれば、気分良いものではないでしょう。普通に暮らせることを願うばかりであります。

 

 

さいごに

正直難しい映画でした。信念の話や罪を認める話は身近ではないというか、あまり自身で触れない内容だったからでした。ジャンルではサスペンスドラマですが、人間のドラマもありましたし、社会の事に触れる映画の印象も強かったです。

 

あとはデンゼル・ワシントンが感情を揺さぶる良い演技でした。今回はあまり触れていませんが、またどこかでデンゼル・ワシントンの記事でも作ってみたいと思います。

 

以上