『インターステラー』【感想】史上最高のSF映画体験/宇宙と人の豊かさと冷酷さ

 

クリストファー・ノーラン監督の作品です。

制作陣の作る姿勢やアン・ハサウェイの出来栄えの満足感ゆえか「インターステラー」の完成された作品は筆者の中では、人に勧めるならどの映画と言われたら今作をおすすめします。

それほどまでに感動を覚え、「スターウォーズ」「インディージョーンズ」によって素晴らしい映画体験をした人たちがいるように「インターステラー」も素晴らしい作品であります。

以下ネタバレありの感想です。

 

 

 

<作品紹介>

公開年  2014年

監督   クリストファー・ノーラン

脚本   ジョナサン・ノーラン

     クリストファー・ノーラン

音楽   ハンス・ジマー

ジャンル SF・アメリカ映画

 

 

キャスト

ジョセフ・クーパー 役(マシュー・マコノヒー)・・・元パイロット、エンジニア

アメリア・ブランド 役(アン・ハサウェイ)・・・生物学者

ニコライ・ロミリー 役(デヴィッド・ジャーシー)・・・物理学者

ドイル 役(ウェス・ベントリー)・・・地質学者

マーフィー・クーパー/マーフ 役(ジェシカ・チャステイン)・・・ジョセフ・クーパーの娘

ジョン・ブランド教授 役(マイケル・ケイン)・・・NASAの科学者

ヒュー・マン 役(マット・デイモン)・・・科学者

 

 

あらすじ

日常的に起こる砂嵐によって世界は食料危機に陥っており、人類の存亡までかかっている。ある日元パイロットのクーパーは娘マーフの部屋に不思議な現象を出会う。不審に思い調べると重力によって信号が送られ座標を示していた。座標が指す場所へ行くとそこにはNASAがあり、人類を救うため移住計画を実現する計画が行われている。クーパーはパイロットとして果てのないミッションに人類の希望を乗せて旅立つ。

 

 

 

<感想>

 

宇宙の未知の開拓と人の性(さが)

やはり語るとしたら宇宙にある美しさと恐ろしさを秘めたものであり、人の物語が愛や裏切りによって織りなされているドラマ性があることでしょう。筆者は「インターステラー」以上の映画体験に出会っていないと言っても過言ではありません。

 

映画の始まりはクーパーがマーフの部屋に重力によって信号、メッセージが届いていることに気づく。解読し導かれるように向かうとNASAがあり、ブランド博士らは地球の食糧危機問題はもはや瀕死であり移住計画を立てている。クーパーはマーフとちゃんと別れの挨拶ができず旅立つことになる。

 

宇宙探査の映画で始めに目にするのが、宇宙船だと思います。彼らはどんな船に乗って旅をするのかが気になり冒険心が躍る場面があります。宇宙船と宇宙ステーションのドッキングや人工重力を発生させたりする描写はSF映画を楽しんでいると実感する場面です。

 

なかでも特徴的なのは、”彼ら”が作ったワームホールや通り抜けた先のブラックホール(ガルガンチュア)は、映像美という言葉がふさわしいような登場人物たちを越えた映画の視聴者にまで魅了する未知の体験をさせてもらえるのは「インターステラー」がSF映画の金字塔と言ってもおかしくはないです。

 

 

またブラックホールなどの映像の豊かさだけでなく、人間模様も見どころです。宇宙に行くわけですから地球のなかでの旅とは違い、本当にいつ帰ってくるかも分からない、つらい別れが生じます。最初の起点でもあります。

 

そしてクーパーたちが待ち受けていたのは時間の問題です。ブラックホールの近くでは時間の流れが遅くなる、いわゆる浦島太郎状態になってしまうと。1分1秒も大切にしたいのに思い通りにならないのが宇宙の世界でありました。

 

仲違いや言い争いもあれば恐ろしいウソもあるとは人間の根源のところにある生きたい欲や大切な家族に会いたいさまざまな感情がうずまく、人の性(さが)があります。負の側面だけでなく正の側面、人の愛が表現されるのもまた重要で「インターステラー」で何がキーポイントとなったと言えば人の愛でしょう。時空を超えた愛が人を救い、果ては人類を救うことになったのですから。

 

 

 

「四次元立方体テサラクト」と「意味深な詩」と「”ラザロ計画”」

今作で一番不思議さが詰まっているのはクーパーがブラックホールのなかに入ったあと謎の場所に辿り着いたところの話だと思います。たぶんこれも「インセプション」同様にひとつずつ押さえていければ良いのではないでしょうか。(個人的に解釈したものです。)

 

どこ?

ブラックホール(ガルガンチュア)の先に”彼ら”が導いた。五次元を扱うところ。そこは時間も物理的な次元である。過去にも未来にも干渉できるみたいな話。

 

誰?

”彼ら”は五次元を扱える存在。人類を超越した者たち。クーパーは人類が進化した未来の我々であると。

 

何をした?

クーパーがNASAの座標、重力の特異点のデータをマーフに伝えた。そのなかでクーパーが時間に干渉できると気づく前、自分が宇宙へ旅立つことを後悔し自分に言い聞かせようとした、"STAY"と。

 

結果として人類を救う移住計画プランAが完遂できた。つまりプランAと”人口爆発”プランBがどちらも成功したはずです。

 

 

それから、あの詩はクーパーたちに向けた内容でしょう。ブランド博士らは”恐ろしいウソ”があり、時間を無駄にしたことへの怒り、救うことができないことへの怒りを持てと言っているのか。いずれにしても罪の告白の隠喩かもしれません。

 

”ラザロ計画”は、ラザロはイエス・キリストの友人。死したラザロをイエスが復活させたことから有名な話だそうで、この「ラザロの復活」はイエスが人類全体の罪を背負い、いずれは救われる意味を用いているなら、ブランド教授は自身と人類に同じ意味を含ませていると想像できそうです。

 

 

 

愛が導く人の素晴らしさ

愛ひとつ取っても色々な形があると感じさせられました。クーパーとマーフの親子愛、アメリアのエドマンズに対する恋人愛、ブランド博士とマン博士の人類愛と自己愛(ある意味)。どれも正しく捨て去ることのできないものでありました。

 

なぜ「インターステラー」において愛が語られるのかを今一度捉えておきたいと思います。ここで扱うのは”親子愛”ですね。クーパーとマーフについては物語があります。念願の思いや感動の再会といったものです。

 

人類が生活できる宇宙探索は時間を代償とします。しかもクーパーの目的が人類の存亡がかかっていると。越えられない壁が存在したはずです。悲しみに打ちひしがれ、再会の希望が失われたかと思いきや待ちに待った再会は感動です。

 

人の障害に立つ時間と空間を意にも介さず何かを成すことに理屈でなく人が持つ力、愛が導いた瞬間でした。

 

 

 

人が時間と向き合うことについて

インターステラー」は題材が宇宙でテーマが親子愛については前述の通りであると。なるほどそれは分かった。しかし何かを話忘れている気がしました。食糧危機、宇宙探索、人類が住める惑星など何か共通することが見えた気がします。

 

先ほどから触れている通り時間です。クリストファー・ノーラン監督が時間を使った映画作りからもヒントになりました。空腹だって時間が経てばやってくる、宇宙探索は時間が限られた中で遂行する必要がある、人が住む惑星も人類が滅亡する前に見つけなければならない。

 

人はいつも時間と向き合っています。ここからは拡大解釈かもしれませんが、時間を大切にしようというメッセージがあると思います。上記の物理的に何かをすることに対しても当てはまります。

 

それともうひとつ当てはまるのが人同士の時間にも有限であるということ。クーパーがマーフと過ごす時間、アメリアがエドマンズと過ごす時間は限られている。そういった人と過ごす時間が無限ではないのです。大切な人と居られる時をいかにして使うことに意味を見いだすメッセージがあっても可笑しくはなさそうです。

 

 

 

さいごに

タイトルにある通り筆者史上最高の映画体験が「インターステラー」だと断定できます(今のところ)。ストーリー、演出、俳優の演技、音楽どれを取っても最高でした。

映画の世界に飲み込まれるのは素晴らしい出会いでありますし、今後も語り継がれる作品になってほしいです。

また違う話題で「インターステラー」の記事でも書いてみたいです。映画愛を存分に発揮したいと思います。

 

 

以上