マーティン・スコセッシ監督作品です。
「ジョーカー」本作の影響を与えた話があり、「タクシードライバー」自体は当時の時代背景や大統領候補狙撃事件などからの影響があるらしく、映画の与えるものや映画に与えるものは多くあるなぁと思いました。
以下ネタバレありの感想です。
<作品紹介>
公開年 1976年
監督 マーティン・スコセッシ
脚本 ポール・シュレイダー
ジャンル クライム・アメリカ映画
キャスト
トラヴィス・ビックル(ロバート・デ・ニーロ)・・・主人公、元海兵
ベッツィー(シビル・シェパード)・・・選挙事務所の職員
アイリス(ジョディー・フォスター)・・・売春婦
あらすじ
不眠に悩まされ定職に就けない元海兵隊トラヴィス。タクシー会社に勤めることにし生活を送る。ある時選挙事務所で見かけた女性をデートに誘うも喧嘩別れをする。一人になったトラヴィスは以前から抱えていた孤独と世の中に対する溜まったものを吐き出そうと行動に移す。
<感想>
孤独を抱える主人公
元海兵隊の若者トラヴィスは不眠のためタクシードライバーの職を希望します。彼は日々人と関わらない生活によって孤独に苦しめられ、そして街が麻薬と性欲に溢れていることに嫌悪感を示します。
主人公は周りか爪弾きにされているわけでもなければ、戦争のトラウマを抱えている様子もないです。心が満たされていない状態ですね。恋人や家族がいて暮らしておらず孤独なひとりの男という印象。
ある時、ベッツィーという名の女性を目にして惹かれデートに誘うもポルノ映画を観行ってしまい、仲が悪くになり別れます。トラヴィスは再び孤独を感じ、心が徐々に狂う様は異常さを感じるでしょう。
注目されるところはトラヴィスの心が乾いていく、または満足しない様子とぁ荒れ狂う姿ですね。たしかに心が寂しい感じは共感できますし、廃れていくものも分かる気がします。
ただ狂人化していくのが特徴というか違和感の正体かもしれません。人はそこまで荒れてしまうのかと。そこに共鳴する感覚はなく、個人的には分かりにくさが存在していたと思います。
もうひとつは政治犯でも革命家でもない、いちタクシードライバーの男の話は誰かのために行動していなく自己満足であったことが映画の鑑賞者を満たさないものであったと言えると思います。
当時のアメリカ社会の戦争帰還兵や満たされない若者たちには刺さるところがあったのでしょう。その満たされない点ではトラヴィスがテレビを見たりしてダラダラ過ごす怠惰な部分は現代人のスマホをのんびり触る部分と重なるので、一定の共感は無きにしも非ずですかね。
衝動的で真面目に荒れ狂う
主人公の上記以外の際立った場面は大統領候補銃撃計画と少女娼婦アイリスを助ける話だと思います。鏡に向かって銃を構えたり自分に話しかけたり、また次の目的のアイリスを助けるためにギャングを殺してしまいます。
筆者の捉え方として主人公は計画を練って着実に準備をして、そして段取りまで考えている様ですが、主人公が抱える孤独と不眠、街の居心地の悪さから、それらを解消しようと性格も相まって、真面目さと襲撃というあまり人がやりそうにない衝動的な行動が続いたように感じます。
ここでいう真面目さは後から知ったのですが、世間知らずからくる不器用さみたいな感じかと。ベッツィーとの食事デートで会話から皮肉?を言われるシーンがあったはずで、トラヴィスは物を知らないハンデより結果荒れちゃった要因のひとつと捉えられるでしょうか。正直この部分は気が付かなかったです(汗)。
終わらないタクシードライバー
ラストシーンのベッツィーをタクシーに乗せ目的地に着くと興味なさげに走り去るトラヴィス。はじめあぁベッツィーには興味がなくなったのだなと思いましたし、そう受け取る人も多いでしょう。ただ気になるのはトラヴィスが車で走り去った時、これからどうなるの?と。
ここも色々見ていきわかったことは、結果として少女アイリスを助けた英雄として扱われます。しかし世の中が移り変わるように、トラヴィスの存在は忘れ去られ再度孤独に苛まれるはずです。それから同じように心が満たされる注目を浴びる行動を取りそうです。
となると結構重めのダークな話になり、映画の側面で何かを抱えた人がいる社会の注意喚起の意味で、映画界にとって評価が高い作品かなと。
さいごに
全体的に楽しくない作品なのはたしかですね。もしかしたらマーティン・スコセッシ監督の映画は暗いテーマで、大げさに言えば陰鬱なストーリーが多いかもしれないです。監督のイメージがギャング映画ていうのもあって。
好みとして物語の主人公が思い悩む映画はベン・アフレック主演の「ザ・コンサルタント」が良いです。社会的テーマを持った作品は「タクシードライバー」が評価が高いかもですが、楽しく観ることを含めると上記の作品がおススメであり、お気に入りです。
監督の作品はイメージばかりなので、ひとつくらい観ようかなと思います。
以上
<参考>
映画の見方がわかる本:「2001年宇宙の旅」から「未知との遭遇」まで