1976年の金田一耕助シリーズの1作目です。
いつかは観たいなと思っていたところにYoutubeで配信されていたので、自分の観る機会がやってきたようです。
実に面白かったです。
あまり日本の映画を観ないのですが今作は当たりですね。
観ていない方でミステリー系映画が好きならばおすすめします。
以下ネタバレありの感想です。
<作品紹介>
公開年 1976年
監督 市川崑
脚本 長田紀生
音楽 大野雄二
原作 横溝正史
ジャンル ミステリー・日本映画
キャスト
野々宮珠世 役(島田陽子)・・・先々代神主の孫だが、、、
はる 役(坂口良子)・・・ホテルの女中
井上刑事 役(辻萬長)・・・事件担当の刑事
あらすじ
犬神佐兵衛の逝去後、遺言状の読み上げより野々宮珠世が佐兵衛の孫息子と結婚することが相続の条件であった。なぜ親族でない珠世なのか親族一同の思惑が動き出すなか、金田一耕助は不穏な一族の事件と謎に迫る。
<感想>
相続争いから始まるミステリー映画
犬神家、佐兵衛が亡くなったことで遺産相続の話になります。一族集まってから遺言状の読み上げが行われる。そして一族にきな臭いとのことで法律事務所より金田一耕助へ調べるよう依頼がなされる。しかし依頼した本人が殺され遺言状の内容も一族が不満を漏らすものであった。
それにしても相続争いはよく揉めると聞いたことがありますが、もし現実に劇中のような出来事があったら逃げ出したくなります。
まぁそれは置いておいて、映画の要はミステリーと人間模様ですね。相続人が誰になるのかを珠世が鍵を握っています。ここから想像できる通り、遺産目当てに手を下そうとする輩が表れるのが分かります。
珠世を中心に物事が動いて、珠世をつけ狙いその周りで事件が起きます。当然珠世が怪しいわけですがミスリードを持ってくると。一番怪しいのは佐清ですよ。とまぁそんな感じで物語が続いていきます。
ミステリーの王道というのでしょうか。中心人物の周りで事件が起きて実はあいつが犯人だ的な展開は単純に面白いです。映画のストーリー展開、起承転結がしっかりしているからだと思います。伏線要素も良いですね。
特に今作の良さ評価が高そうな部分は演出かなと個人的に捉えています。飽きない流れるようなテンポ、カメラの焦点の当て方等の描写の見せ方が非常に良かったです。演出の良さと言えばアニメ「あしたのジョー」や「OVAブラックジャック」の監督、出崎統を思い出します。上記の制作側のおかげか映画全体を楽しく観れます。
金田一耕助ら登場人物は個性的で魅力があった
推理ものは変わった人物が出てくる印象があります。ベネディクト・カンバーバッチやロバート・ダウニー・Jr.が演じたシャーロック・ホームズがそうであったように。ホームズほどではないにしても良い意味で変わった感じがありました。
ホテルの女中はるが”何だこの人?!”と見るように。変な目で見られはするのだけれど観察力、行動力は優れているゆえにキャラクターの性質を打ち消すより補強するイメージですね。
また佐兵衛の異母姉妹も良い味を出しており、人に対してこんなにも嫌に映るかというくらい演技があり、表現できる意味では良いですね。他にも警察の井上刑事も個性があります。捜査能力の抜けている様子は推理ものお茶目のような光る脇役がいます。
なかでも一番気に入っているのは金田一とはるのやり取りです。クスクスと笑える点やサブヒロイン的な可愛さがあって、話の掛け合いは安心やほっこりする要素として魅力が存在します。
金の欲深さは身を滅ぼす、しかし家族は一生もの
お金のどんな問題でも家族同士で争うのは悲しいし寂しいものがあります。佐清の母親の真実を知った様子や金田一に問い詰められた時はものすごくショックを受けており、実際にあっても同じような思いをするでしょう。
遺産相続争いは本当にドロドロしたある意味醜い姿が映し出され良いことが何も生み出さないのは映画を見ての通り。お金は生活する基盤でもありますが、変に欲を出し過ぎると身を滅ぼしかねないのは教訓として学べそうです。
とは言っても本作における起因は佐兵衛と神主の野々宮大武から始まります。佐兵衛がのちの代に負の因子を残したのが、やっちまったなという展開が存在します。残したのもそうですし佐兵衛と大武の関係が特殊だったのか、、、因果ですね。
さいごに
正直「犬神家の一族」が自分自身が思ったより面白かったのは予想外でした。名作を発掘した気分です。そう思うと邦画に手を出すのも悪くないかもしれません。
庵野監督の「シン・ゴジラ」「シン・ウルトラマン」は良かったのでシリーズが続くよう期待したですね。
以上