今回は「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」を視聴しました。
初めて見た時は心を動かす作品でしたが、改めて観ると物語の難しさはないものの奥深く味わえる作品でした。
ヒューマンドラマだからこそ、より身近に感じたと思います。
以下ネタバレありの感想です。
<作品紹介>
公開年 1997年
監督 ガス・ヴァン・サント
脚本 マット・デイモン
ジャンル ヒューマンドラマ・アメリカ映画
キャスト
ウィル・ハンティング(マット・デイモン)・・・悩みを抱える若者
ショーン・マグワイア(ロビン・ウィリアムズ)・・・心理学者
チャッキー・サリヴァン(ベン・アフレック)・・・ウィルの友達
ジェラルド・ランボー(ステラン・スカルスガルド)数学の教授
あらすじ
マサチューセッツ工科大学で清掃員をしているウィル・ハンティング。ある日、廊下の黒板に書かれた数学の問題を解き、教授に目をつけられる。しかし、素行が悪く犯罪歴もあるウィルはショーン・マグワイアという心理学者からセラピーを受ける。
<感想>
天才青年、追い求めるものは何か?
主人公ウィル・ハンティングはマサチューセッツ工科の清掃員のアルバイト。数学の教授から才能を見出され、心理学者ショーンからセラピーを受けると。
頭の良さに申し分ないが、その賢さをどうするかについて触れられます。ウィルは”自分のしたことをして何が悪い!”と突っぱねます。対して大人たちは”才能を武器にしなくてどうする!”と。
どちらも悪い話ではありません。前者は自分の人生を歩むことに繋がりますし、後者は才能を活かして職に就きお金に困りません。
しかし、肝心なのは”本当にやりたいことは?”です。これはウィル自身も避けていたことですね。友達やショーンは地元で働いていても興味のない仕事に就いても、”心を震わせる何か”を置いてきぼりにするなと言っていました。
これは夢を追いかけるか現実を生きるかの二択の話ではなく、暮らしや仕事が違えど自分が納得いく人生の道は何かと問われていました。
核心をつく描写として、彼女がただ”愛している”を聞きたかったが、ウィルがはぐらかしてしまう(友達が聞いたら殴ってきそう)。つまり、本当に追い求めるものがあるはず。
求めきれない行動があり、”幸せとは何だ?”みたいに哲学っぽいですが、そう捉えることも出来ます。
アメリカのサクセスストーリー的なやりたいことやって成功しようぜ雰囲気が漂っている気がしなくもないですが、、、魅力的な物語ではあります。
傷つける人の心を理解するために、、、
先ほどの内容と一転して、続いては如何にして言葉というものが人を傷つけてしまうかです。ウィルはショーンが描いた絵を見て心無い言葉を並べて言い、怒られてしまいます。
その後ショーンの語りの場面があります(個人的には名場面)。
”自分の言葉を分かっていない子供だ。愛した女性と一緒にいる幸せ、戦争で人を亡くす悲しみ、人が感じる気持ちを真に理解していない。だから平気で刺のある言葉を投げかけ傷つける”(言っていたことの一部抜粋です)
心を理解するということは、自分が体験した出来事を相手と共感する部分があると思います。
自分の大切な思い出を持っていたならば、それを汚されるのは嫌ですし、大切な人を馬鹿にされるのは腹立たしい。
それらが相手にも起こると感じれるならば、無暗に言葉を使わず思いやりを持てるでしょう。
ただ、ウィルの友達にいつも”何で?””どういうこと?”と言う人がいました。彼はある意味、素直なところが目立っていました。なかなかオープン過ぎるのはあれですが、分からないなら相手に直接聞くことは参考になるかと。
分からないとそのまま流してしまいがちですが(個人的に)、知ることで相手と一歩距離を縮められる良さは前述の人間関係を良くするためのひとつの手段になり得そうです。
大切な体験や相手の気持ちを知って気づくことが、心を理解する助けになりますね。
自信を許すもっとも大きな課題
本作は主人公ウィルが人として成長し、旅立つ物語がメインです。そうした感動的なヒューマンドラマを描きつつも、人の精神的なところに焦点を当てたのが興味深いです。
ウィルが幼少期に養父から虐待を受けたせいで人間関係に支障をきたします。劇中でショーンに自身のことを聞かれても、覚えた知識をまくし立てるだけで、本音で語れていません。
ここから分かるのは過去に負った傷を開かせないために(再び追わないために)会話をはぐらかす、心を守る働きがあること。同時に人との関りが恐れていること。
見えない傷であり、治す方法として人と接する必要があるので、難しい問題に思えます。
印象的なのは言葉を通して向き合うことです。心に負おうものを話すことで向き合い、問題を対処する姿勢や動きが心を変えていくと。心が変わればおのずと言葉も変わる。これはショーンが言っていた”信頼”がテーマですね。
人を信じて頼る温かさ感じます。人が困難に直面した時、周りの状況が上手く見えず、誰が頼りになるのか分からない。判断力が落ちているとも言えますね。そんな時手を差し伸べてくれる温かさが胸に来るものがあり、映画を通して美しさまでやってきます。
また差し伸べられた手を掴む勇気も見逃せないです。恐れや不安などの暗いイメージを持つ気分は掴もうとする手を自身が阻む。どこに向かっていいか分からない暗闇の中、必死で見つけた光はとても明るいに違いありません。
ショーンが”君は悪くない”と何度も言ったあのシーンは感動的で、ウィルは人と繋がれるハッピーエンドを迎え、最後には安心する映画です。
さいごに
物語がとても良かったですね。感動するヒューマンドラマ映画のランキングに多く入りそうな映画です。
もちろんロビン・ウィリアムズの演技も素晴らしい。貫禄なのか人間味の深さがあって観ていて飽きず、ショーン役にピッタリでした。
余談ですが天才的な頭脳は少しうらやましく思います。しかし頭が良い人にも悩みはあるらしいので、悩みを減らす方が先決かもしれません。
以上