ダークナイトシリーズ3作目です。
3部作の終わりとして良かったと思いますし、バットマンがどうなるかやブルース・ウェインがどうなるかをしっかり表現されていたので、観終わった後も満足出来ます。
「ダークナイト」でも内容がハードでしたが今回もなかなか重い雰囲気があり、いわゆる制作側の個性が出ていたのも良かったです。
それでは以下ネタバレありの感想です。
<作品紹介>
公開年 2012年
監督 クリストファー・ノーラン
音楽 ハンス・ジマー
キャスト
ジェームズ・ジム・ゴードン 役(ゲイリー・オールドマン)
ベイン 役(トム・ハーディ)
ミランダ・テイト/タリア・アル・グール 役(マリオン・コティヤール)
あらすじ
ハービー・デントの死から8年後、新たな法ができ街に平和がやって来た。束の間の安息は過ぎ新たな敵、圧倒的なパワーとスピードを持ったベインが表れる。街のためにブルース・ウェインは再び立ち上がる。
<感想>
破壊と再生の話
バットマンを倒す、破壊すると言えばゴッサムの街を壊してしまうことであります。それを狙ったのがベインです。前作の罪を被ってまで平和を作ろうとしたことの真実が暴露される。願った力の限りを尽くした平穏が壊される様は、まさに”破壊”であったと。
また物理的に壊されるだけではなかったのが、特徴で精神的にも攻撃を仕掛けてくるのは、ジョーカーのような敵の再来と言える。精神の”破壊”であります。1作目と2作目のゴサッムに恐怖が蔓延し始めたのとバットマン自身もやられていくのは、絶望である。
この絶望的な状況を表すのが、リアルさや陰鬱さを感じ演出の良さを知る瞬間です。
そして、特に奈落の底から這いあがる姿は興奮を覚えます。まず恐怖とは克服する、乗り越えるものばかりだと捉えていたのが、ここにきて恐れを感じることが強い魂を宿す。新しい発想としての精神がもたらす力は面白いと思います。
改めてバットマンの根源である恐怖と向き合うのは、原点回帰であり新たなバットマンの”再生”かと。恐れとは身を縮こませる怖いものと、同時に己を奮い立たせる力となるであります。
ベインの強さ
やっぱり愛かなと思うのですがどうでしょうか。タリア・アル・グールを愛したことがパワーの源のように感じます。「ダークナイト」シリーズは薬品を使ってパワーアップしたり変身したりする話はなくリアル路線で制作されているので方向性は合っている気がします。
想像では初期のバットマンの恐怖を乗り越える、タリアの恐れを感じ強い魂を宿す、ベインの愛の力みたいに流派の違いがあったりするのも良さそうですね。
バットマンとキャットウーマン
アン・ハサウェイ演じるキャットウーマンはとてもクールですね。序盤のブルースの邸宅に強盗しに行った時、メイドから泥棒に役が切り替わる瞬間は演技が上手いなぁと感じます。
それに、ブルースとセリーナの2人の話の掛け合いも結構良くて、ブルースは「君はそんなことする人じゃない」と言ったり、カリーナはブルースを心配したり、「破産させてゴメン」て、この人は根っからの悪党ではないのが分かるのが良かったりします。
人に気を使って手を差し伸べたり心配で声をかけたりするのは、前述と同じく人同士の関係のリアルさあって観ていて、なんていうか奥ゆかしい、、、というよりは人間模様に惹かれる部分が存在するのはたしかです。
救われたブルース・ウェイン
アルフレッドが再三にわたってブルース・ウェインにバットマンを続けるのは、破滅の道に進んでいる。ゴッサムは苦痛と悲劇しかないと言います。たしかに前作「ダークナイト」で、既にボロボロになり愛する者を失ってしまう。もはやブルース・ウェインとして生きていくことが自身を病んでしまうかのような有様です。
それゆえにバットマン、そしてブルース・ウェインの終わり方があったと感じます。新たな人生を歩むことが救われる道です。また影の同盟を倒せたことも良い節目であったのではないかと。そういった意味でラストの出来事があったと解釈すると納得がいきます。救われたブルース・ウェインは”再生”を果たしたと言えるし、アルフレッドが望んだ幸せの道を選べたのであった。
さいごに
「ダークナイト」シリーズは3部作で完成形であり、ブルース・ウェインのバットマンの物語で今作で幕を閉じたのは良かったです。始まりから終わりを描ききりバットマンの存在が、中の人が誰であろうと街の守護者は不変に存在する。後味良く観終われたのも良かったです。
それともうひとつ、音楽がやっぱり良いです。雰囲気が出るのは演出を高める効果を持っているからだと思います。
以上
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